「認知症になっても、みんなが笑顔になるまち」づくり
12/9(日)、川崎市麻生区にある、「あさお もの忘れ 仲間の会」(栗木台地域包括支援センター主催)の仲間たちで、電車を乗り継いで八王子へ。
八王子労政会館で開催された「eまちサミット~認知症になっても、みんなが笑顔になるまち~」に参加してきました。
39歳で若年性認知症を発症した丹野智文さんの基調講演は、当事者のお話としてとても為になりました。 【写真:基調講演 丹野智文さん「笑顔で生きる~認知症とともに~」】
とても多くの方々が参加されていて、「認知症になっても安心して笑顔で暮らせるまちづくり」への関心の高さに驚きました。
認知症当事者8名による座談会には、私たち「あさお もの忘れ 仲間の会」の仲間も登壇し、思いの丈を聴かせてくれました。 【写真:D7 プラス 1「認知症当事者からの発信」】
本日のお話の中で、とても心に残ったのは、下記にまとめた「認知症当事者からの10個の言葉」です。
◼️「認知症」という病名で人を見ないで!目の前にいる人を見て!
「認知症です」というと、すぐに介護保険の話をされたり、介護サービスの活用の提案をされたりすることが多い。
認知症という病名から、介護の話をするのではなく、目の前にいる人を人として見てほしい。
◼️偏見を無くす
「認知症」になったらおしまい、負け組…という偏見がある。
「認知症」は誰でもなり得るもの、ということを社会に広めていくことが大切。
◼️出来ることを奪わないで!
「認知症だから、できるはずがない」、「認知症だから、何でもやってあげよう」ではなく、出来ることはやらせてほしい!出来たらそれが自信になる!
またやってみよう、もっと頑張ってみようと、前向きになれる。
◼️自立が出来る環境づくり
認知症の進み具合によって、人により様々な段階がある。1人1人に合うメガネの度数などが異なるように、認知症当事者も、1人1人が出来ること、必要なサポートが異なる。
「認知症なんだから、こういうサポートが必要でしょ」という感じに、みんなに同じ度数のメガネをかけても、合わない人が多数出てくる。
当事者1人1人の自立に必要なサポートをしてほしい。
◼️「認知症カフェ」、病名を聞いて、何を知りたいの?
「認知症カフェ」に行くと、必ず病名を聞かれる。次に、困っていることはありませんか、と必ず聞かれる。病名を知って、何を知りたいのだろう。
そのうち、では折り紙やりましょう、とか言われるが、そんなのやりたくない!
当事者本人の思いはいつも蚊帳の外みたいだ。 ■当事者どうしで会って話すことが大切 認知症の当事者になると、いままでのつながりが薄くなって孤立しがち。 当事者どうしが会って想いや悩みを話してお互いに共感して、どんどんしゃべることが大切!
◼️「認知症予防教室」……予防は出来ないからやめてほしい!
一生懸命に予防に取り組んでも、なってしまったら、落第のレッテルを貼られてしまう。恥ずかしくて情けなくて、誰にも会いたくないし、もう家から出られなくなってしまう。
認知症は誰もがなり得るもの。
「認知症にならないように頑張りましょう」ではなく、「認知症になってもいいんだよ!」という社会にしなくてはいけない。 【写真:トークセッション「パートナーシップについて」 丹野智文さん × 竹内裕さん × 前田隆行さん】
◼️パートナーシップ
「認知症サポーター養成講座」を受講して「認知症サポーター」になったけど、いったい何をサポートしたらいいの? と聞いてくる方が多い。 頑張ってサポートしようと意気込んで、トイレどこですかと聞かれると、トイレの中までついてくるなど、大きなお世話をする人が多い。 当事者は決してサポートを求めているわけではない。 求めるのは「サポーター」ではなく、「パートナー」。 「パ-トナー」として、一緒に楽しむ仲間でいてほしい! ■「認知症当事者」と「認知症サポーター」がお互いに巡り合えない? いったいどこにいるの? 「認知症サポーター」は、日本に2000万人もいるそうです。でも、「認知症当事者」も「認知症サポーター」もお互いにどこにいるのか分からない。街の中で見たことないなぁ、とどちらも思っている。せっかく「認知症サポーター」になったのに、サポーターリング(オレンジ色のリング)を身に着けているサポーターがほとんいない。 「認知症当事者」からのお願い。「認知症サポーターの方、ちゃんとリングを見えるところに身につけましょう!」 ■人とのつながりで、前向きになれる
当事者8人の座談会で出た体験談。 「最近、人とのつながりが薄れてきたなと思ったら、家に閉じこもることが多くなった。ますます殻にこもって落ちこんでしまいそう。これではいけないな、人とのつながりを持たなきゃ、そう思っています。そうすれば、もっと前向きになれるだろうな。」 このお話を聴いて、「あっ、まさに自分の想いの原点だ!」とあらためて思い出させてくれました。 家に閉じこもっている当事者の方、介護される人・介護する人が、音楽をきっかけに地域社会と繋がって、自分らしく笑顔になってほしい! その想いで立ち上げたのが「音楽で笑顔!プロジェクト」でした。 今後は、「音楽で笑顔!プロジェクト」で、音楽をきっかけに自分らしさを取り戻して笑顔になって頂く活動とともに、いろいろなことを一緒に楽しむ仲間、「認知症パートナー」として、認知症当事者の方々と向き合っていきたい。 そう思えたことが、今回のサミットに参加して得た大きな収穫でした。